介護福祉士国家試験 新カリキュラムについて

介護福祉士

2023年の第35回介護福祉士国家試験において、新カリキュラムの導入により、出題基準の変更が行われました。

実際に試験を受ける際に、新カリキュラムの話題が多くあったと思いますが、あまりよくわからないという印象を受けた方が多くいると思います。

そもそも新カリキュラムとは、何なのか、まとめたいと思います。

新カリキュラムとは?

この新カリキュラムとは、介護福祉士養成課程のカリキュラムのこと。

これは、4年課程大学等、3年課程高校等、2年課程短大・専門学校等の教育課程におけるカリキュラムで、この教育課程の内容が変わったということです。

カリキュラムの変更は、2023年1月に実施予定の第35回介護福祉士国家試験に合わせて、2018年から周知され、2019年度には4年課程大学等、2020年度には3年課程高校等、2021年度には2年課程短大・専門学校等と、順番に導入されました。

その新カリキュラムの授業を受けてきた学生さん達が一斉に受験するのが、第35回介護福祉士国家試験となっていました。

ただ、介護福祉士を受験する方の多くは、実際に働いている介護職員さんたちで、多くの受験者にはこの「新カリキュラム」という言葉が馴染まなかったと思います。

試験センターの「第34回介護福祉士国家試験の合格発表について」では、4年課程大学等、3年課程高校等、2年課程短大・専門学校等は、「介護福祉士養成施設」でまとめられていました。

介護福祉士養成施設の受験者数、7114人。

受験者の総数は、83,082人。

介護福祉士養成施設の受験者は1割にも満たない人数となり、1割未満の受験生がこの新カリキュラムを体験していることになります。

新カリキュラムにおける5つのポイントとは?

新カリキュラムには大きな5つの柱があり、この5つの柱は、試験の出題内容に影響を与えると考えられています。

新カリキュラムの5つの柱

  1. チームマネジメント能力を養うための教育内容の拡充
  2. 対象者の生活を地域で支えるための実践力の向上
  3. 介護過程の実践力の向上
  4. 認知症ケアの実践力の向上
  5. 介護と医療の連携を踏まえた実践力の向上

1と2は新しい内容として、追加されています。

3と4と5は今までの教育内容をさらに深化させたものとなっています。

1と2の説明として、厚生労働省の資料には、以下の内容が記述されていました。

「1.チームマネジメント能力を養うための教育内容の拡充」

介護職チームの中での中核的な役割やリーダーの下で、専門職としての役割を発揮することが求められていることから、リーダーシップやフォロワーシップを含めた、チームマネジメントに関する教育の拡充されます。

「2.対象者の生活を地域で支えるための実践力の向上」

地域共生社会の考え方と地域包括ケアシステムのしくみを理解するとともに、対象者の生活と地域との関わりや、地域での生活を支える施設・事業所の役割を理解し、地域における生活支援を実践的に学びます。

新しい領域として追加された「チームマネジメント」というキーワードは、このあたりを根拠にしているように思います。

チームマネジメントについて

今回の新カリキュラムの導入における、出題基準の変更点として、新しい領域である「チームマネジメント」の大項目が追加されたことがあります。

そこには、「介護サービスの特性」、「組織と運営管理」、「チーム運営の基本」、「人材の育成と管理」の中項目が追加されました。

具体的な内容として、「介護実践とマネジメント」、「福祉サービス提供組織の機能と役割」、「チームの機能と構成」、「リーダーの機能と役割」「スーパービジョン、コンサルテーション」などが追加され社会福祉士やケアマネなどでみられる領域からの出題内容が示されました。

このチームマネジメントという言葉に馴染みがない方は、社会福祉士やケアマネの過去問アプリで学習することができます。社会福祉士やケアマネには、以前から「チームアプローチ」や「多職種連携」についての問題が一定程度出題されています。

具体的な学習方法については、介護福祉士の過去問アプリのクマサン講座で案内していますので、そちらを見てみてください。

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科目別の問題数と順序の変更について

今回の新カリキュラムの変更に伴い、2023年の第35回介護福祉士国家試験において科目別の問題数と順序が変更されました。

問題数の変化として、

旧カリキュラムでは「コミュニケーション技術」からは8問出題されていましたが、新カリキュラムでは6問となりました。

旧カリキュラムでは「人間関係とコミュニケーション」からは2問出題されていましたが、新カリキュラムでは、4問となりました。

「コミュニケーション技術」のうちの2問が、「人間関係とコミュニケーション」に移動した形となりました。

もともと、この2つの科目は、合格基準の要件では、「人間関係とコミュニケーション、コミュニケーション技術」とひとまとめになっていますので、あまり大きな影響はなかったのではと思います。

もう一つの変更として、

科目の順序が大きく変わりました。すべての問題を解くという意味では、あまり関係ないかもしれませんが、なんとなく違和感を感じそうです。

個人的には、医療的ケアは難しい問題が多く、総合問題の前に位置しているイメージが強いのですが、午前中に移動したことで、午前中の問題の難易度が高く感じるようになったと思います。

介護福祉士 2023年度 試験問題と解説

こちらのアプリには、2023年1月29日(日)に実施された、介護福祉士国家試験の問題と解説を掲載しています。来年度の受験に向けて活用していただけると幸いです。

新カリキュラムへの対応や、問題の順番の変更など、新しい試験内容に合わせて調整しています。

10年分の過去問に、2回分の模擬試験を掲載しています。成績の分析や、付箋機能など、試験に欠かせない機能が使用できます。無料版と有料版を用意していますので、広告掲載が気になる方は、買い切り版の有料版をご活用ください。ひとまず、無料版で試してもらえると助かります。

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まとめ

新カリキュラムについては、大きな変更ではないため、基本的な学習をすることで、対応が可能な範囲だと思います。

「チームマネジメント」についても、いくつか問題を解くことで、コツをつかめると思います。

来年受験予定の方は、今の時期から、少しずつでも問題に慣れておくことをおすすめします。

今の時期から取り組むことで、受験に向けて余裕を持って過ごすことができます。